2011年7月9日土曜日

謀攻篇・謀略で優位に

 そのために、もっとも優先すべき行動は、謀略で優位
にたつことだ。
 それがだめなら外交で優位にたつことだ。
 それでもだめなら武力で優位にたつことだ。
 どうしてもだめなら城攻めをするしかない。
 城攻めをするのは、敵国民を味方にできないから全
滅させて、恨みを将来に残さないためだ。
 その城攻めには準備に時間がかかる。
 敵国民を全滅させるような攻撃だから、こちらの損害
も多くなる。
 だから戦争に慣れた者は、敵に戦争をしようとする気
を起こさせない。
 城を守ろうとする気を起こさせない。
 敵国の存続を長引かせない。
 自然にこちらの味方になれば得なようにしむける。
 だから損害がなく、得るものが多い。
 これが謀略の効力だ。

※豊臣秀吉は、難攻不落といわれた小田原城を攻めた
とき、大軍で城を包囲したが、攻める気はまったくなく、
天下はすでに掌握しているというパフォーマンスをして、
戦えば逆賊になることを暗に示した。そして内部分裂を
工作して、投降するようにしむけた。
 民衆の支持があったことが秀吉の謀略を有利にした。
 地震にしても、小規模な地震を起こすなどして、エネル
ギーを少しずつ放出させれば、大地震にはならないよう
な対策が将来はできるのではないだろうか。


ゆえに上兵は謀を伐(う)つ。
その次は交を伐つ。
その次は兵を伐つ。
その下は城を攻む。
城を攻むるの法はやむを得ざるがためなり。
櫓(ろ)・フンオンを修め、器械を具うること、三月しての
ちに成る。
キョインまた三月にしてのちに已(お)わる。
将その忿(いきどお)りに勝(た)えずしてこれに蟻附(ぎ
ふ)すれば、士を殺すこと三分の一にして、城の抜けざ
るは、これ攻の災いなり。
ゆえに善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも、戦うに
あらざるなり。
人の城を抜くも、攻むるにあらざるなり。
人の国を毀(やぶ)るも、久しきにあらざるなり。
必ず全きをもって天下に争う。
ゆえに兵頓(つか)れずして利全くすべし。
これ謀攻の法なり。

故上兵伐謀
其次伐交
其次伐兵
其下攻城
攻城之法、爲不得已
修櫓フンオン、具器械、三月而後成
キョイン又三月而後已
將不勝其忿、而蟻附之、殺士三分之一、
而城不拔者、此攻之災也
故善用兵者、屈人之兵、而非戰也
拔人之城、而非攻也
毀人之國、而非久也
必以全爭於天下
故兵不頓、而利可全
此謀攻之法也