大衆を治めるのに独りを治めるかのようになるのは、
役割分担をするからだ。
大衆を闘わせるのに独りが闘うかのようになるのは、
行動が大義名分にもとづいているからだ。
軍隊が必ず敵を敗退させるのは、いつもはしない行
動(奇法)といつもする行動(正法)を組み合わせてお
こなうからだ。
戦争をした時、石で卵を打ち砕くように手ごたえがな
くあっけないのは、嘘を見抜き、真実をつくからだ。
※普段は静かな海が大津波になるのは、水の動きが
一つにまとまり、それぞれが影響しあって力を増し、同
じ方向に動くが障害物のない方向にも動いて、弱い部
分を徐々に破壊し、障害物を動かすことでさらに強大
な力となるからだ。
一つにまとまるというのは皆が同じことをするのでは
なく、適材適所で自分の力がもっとも発揮できる役割
につくことだ。だから中には何もしていないように見え
る者もいる。無駄なことをしているように見える者もい
る。
それが意外な発見をしたり、思わぬ相乗効果を生ん
で勢いとなる。
孫子曰く、およそ衆を治むること寡(か)を治むるがご
とくなるは、分数これなり。
衆を闘わしむること寡を闘わしむるがごとくなるは、形
名これなり。
三軍の衆、必ず敵を受けて敗なからしむるべきは、奇
正これなり。
兵の加うるところ、タンをもって卵に投ずるがごとくなる
は、虚実これなり。
孫子曰、凡治衆如治寡、分數是也
闘衆如闘寡、形名是也
三軍之衆、可使必受敵而無敗者、奇正是也
兵之所加、如以タン投卵者、虚實是也