2012年7月14日土曜日

経済復興への提案

_日本とドイツは戦争の敗戦国でありながら、驚異的な復興をな
しとげ、経済大国になった。
 二つの国に共通しているのは技術力の高さだろう。
 たしかに優秀な商品を作れば売れる。しかし、最初から優秀な
商品を作っていたわけではない。
 戦後まもなくは物資がなく、アメリカ軍からの払い下げの中古
品などを利用して商品を作っていた。だから、壊れやすい商品も
あったし、見た目も粗末なものだ。
 そうした物は誰も見向きもしないし、売れたとしても安く買い
たたかれる。
 なんとか少しでも高く売れるように創意工夫したことで技術力
を高めていった。
 そして、世界全体が物不足だったことが大量消費の時代を生ん
だのであって、商品を作ればそれで終わりではなく、買う人がい
て初めて商品の価値が生まれる。

 過去はそれでよかったが、現在は物余りの時代のうえ、どこの
国でも優秀な製造機械を導入することができ、技術力の差はほと
んどなくなった。それに、コンピュータによる自動化が進み、技
術者が必要なく、少人数のアルバイトでも十分に仕事ができるよ
うになった。だから、人件費の安い国が安い商品を作ることがで
き、経済成長をしている。
 こうした状況で、雇用対策をしても何の意味もない。

 これから経済の主導権を握るのは「消費者」をどれだけ増やせ
るかだ。
 いくら優秀な商品を作っても買う人がいなければ、ゴミになる
だけだ。
 日本は外国人に買ってもらおうとしているが、自分の国で売れ
ない物が外国人の興味をひくだろうか?

 仕事をして給料をもらい、それで消費者になるという発想では、
仕事中は消費者になれないし、皆が利益をむさぼろうとしている
だけの悪循環になる。
 それに働く能力のない者が無理に働こうとすれば、欠陥商品が
増えて、会社の信用をなくし、健康被害が増える可能性もある。

 生産をする労働と消費をする労働は分担するべきだ。

 商品の販売は世界中のメーカーと競争しているのだから、優秀
な労働者だけでチームを作り、対抗しなければ勝つことはできな
い。
 生産をする労働から外れた者は、消費をする労働をしてバック
アップすればいい。
 具体的には、年金受給者や生活保護者に現金ではなく、電子マ
ネーで毎月20万円ぐらいを支給して積極的に消費の労働をして
もらう。
 電子マネーは数値だけの操作なので、税金を使うことはなく、
増減が簡単にでき、POSシステムとネットワークを組めば、購
買記録の管理もできて、ケースワーカーの負担を減らせる。
 働く気のない者も働いてもらう必要はなく、生活保護者になれ
ばいい。
 生活が安定して、生活保護でも結婚ができる状態になれば、少
子化の問題も改善できる。

「働かないと堕落する」と考えている者は、自分で自分の首を絞
め、他人の足をひっぱっているだけで、それこそ社会を堕落させ
る「お荷物」だ。
 そもそも働くということと収入を得るということは別次元のこ
とだ。
 収入がなくても趣味で働いている人は大勢る。
 働かなくてもマネーゲームでお金を増やすことができる。それ
は、本来はお金という無価値なものに、あたかも価値があるよう
に見せかけ、高所得者が高い地位にあるように錯覚して、お金を
増やすことだけが目的化しているからだ。

 人を評価するのは所得ではなく、社会貢献度のような別の評価
基準をもうけ、本当に資産価値のある物を贈呈すればいい。

 すべてのタンス預金を資産価値のある物、例えば骨董品や芸術
品にすれば、資産はいつまでも増え続け、歴史を守り、文化を発
展させることもできる。

 労働者が不足して必要ならば、刑務所にいる受刑者に働いても
らう。もっとも労働者不足になれば、雇用が増えるわけだから、
放っておいても経済復興するだろう。

 将来は、現金を廃止して、すべて電子マネーやキャッシュカー
ドでやりとりするようになれば、移動のないお金は消滅させるよ
うなこともでき、タンス預金のような価値のないお金もなくせる。
 流通しているお金の全体数が一定ならば、外国との為替の影響
も、ほとんどないだろう。もっとも円が暴落すれば、輸出はやり
やすくなる。

 内需を活性化して、それを後ろ盾にしてどんどん競争力の高い
社会貢献できる商品を開発していけば、世界中のメーカーは追い
つけない。