野球で、一番打者がヒットを打って一塁に行くと、次の打者は
バントをする。当然のように守備はバントシフトで守る。
これが野球の定石だとはいえ、まるでそれ以外はダメといった
ルールのようになっている。
この野球と同じように「孫子は戦争のルールブックだ」という
のが私の着目点であり「孫子を実戦で使えば必ず負ける」という
のが結論だ。
大国は戦争のルールを作りたがるが、テロリストはそんなルー
ルには従わない。
孫子は「最強の兵法」と評価され、誰もが読んで実戦で使い、
勝利することもあり、ますますその評価が高くなったことで、今
日まで残っている。しかし、相手が孫子の通りに行動するのなら、
その行動は手に取るように分かり、簡単に打ち負かすこともでき
る。
だから、今までの孫子を解説した本は曖昧に解釈し、どちらと
も受け取れるような解説しかできない。
孫子を書いた孫武は「二つの孫子」を思考したのではないだろ
うか。
一つは相手に読ませて、その通りに実行させ、簡単に打ち負か
す孫子。
もう一つは自分たちの姿を隠し、相手にその実体を見せず、相
手を自滅させる孫子。
ここに書いた孫子は、東日本大震災が起きた後、少しでも復興
に役立つ、心の支えになる言葉はないかと孫子を読み返し、相手
を自滅させる孫子に思い当たり、解説したものだ。
相手が人間なら人間の考えたルールに従うかもしれないが、相
手が自然だと、人間の考えたルールなど従うわけがない。
自然を打ち負かすことはできないが、自然の力をそぎ、自滅さ
せることはできる。
できれば、今までの孫子を解説した本と照らし合わせて読んで
みて欲しい。
【逆境に勝つ孫子】
計篇
戦争は国の存亡
5つの備え
武器とは
相手をかく乱する
戦争に勝つ者
作戦篇
長期戦
敵地調達
内部崩壊
謀攻篇
自滅させる
謀略で優位に
敵を魅惑する
補佐役
勝機を知る
形篇
勝てない態勢
勝って当たり前
勝負に集中
勢篇
勢いを生む
奇法と正法
勢いと時期
勢いを増す
虚実篇
油断させる
無形の圧力
心理戦
単独行動
条件を整える
無形の水
軍争篇
迂直の計
遠征の難しさ
郷に入る
合図の道具
大衆操作
戦争手順
九変篇
行動パターン
利害は一体
将軍の心得
行軍篇
山川沢地
軍の習性
ささいな兆候
政治腐敗
人心掌握術
地形篇
地形と六曜
指導者の限界
領土に価値はない
教育方法
九地篇
九つの症状
受け流す術
領土保全
敵を味方に
将軍の役割
水と油を混ぜる 領民を動かす
戦争の終結
火攻篇
宣伝(プロパガンダ)
熱気のある火
勝って損する
用間篇
無用の用
扱いにくい「間」
亡国にしないために